>> HOME > 移住のホンネ > 詳細表示

移住のホンネ

お問合せ

移住のホンネ

 上野孝一

こちら田舎暮らし案内所 Iターン
田舎でくらす


上野孝一 さん

移住のストーリー

亡き父のふるさとで

 千葉県に暮らす上野孝一さん(82)が、長浜市余呉町文室の空き家を購入したのは今年7月のことです。いざない湖北がその一端をお手伝いさせてもらいました。すっかり秋が深まった頃に上野さんから連絡が。「リフォームを終えたんです。ぜひいらしてください」
 文室集落の中ほどにあるその物件は、築30年ほどの見事な日本建築。外観からして重厚な趣きがあります。「もとの建物の良さを生かしたくて、外観や構造は変えていません。部屋の使い勝手が良くなるように一部手を入れたぐらいですよ」と上野さん。
 床下のシロアリ被害を総駆除して板を張り替えた縁側と、システムキッチンに入れ替えた台所は大きく変わっていましたが、立派な仏間や客間は、ほぼそのまま。新しく入れた家具などで快適さが増している感じです。

余呉とのゆかり

 上野さんは千葉で、30人もスタッフを抱える税理士事務所を営み、今も現役で現場に指示を出します。文室のお家は別荘的な使い方を予定し、リモートワークにもばっちり対応。2階の一部屋は書斎として整えました。そして居間には、大きめのソファ。「家族や事務所のスタッフ、友人を招いてゆっくり過ごしてもらう場に」と考えているそうです。
 余呉で家を購入した理由、それは上野さんの亡き父の出生地だったことにちなみます。文室のお隣の国安集落で生まれ育ったお父さんは、京都の呉服屋さんへ丁稚奉公へ。そこで結婚し、上野さんが生まれました。
「3歳のとき母を、小学校5年のときに父を亡くしました。母の末の妹が養母として私を育ててくれたんです。早くに肉親を亡くしたせいか、ふるさとというものへの思いが強くありました」
 父母と叔母のお墓は、あじさいで知られる全長寺(余呉町池原)にあり、ご住職との縁が今回の空き家購入に結びつくきっかけとなりました。

夜の集落を照らす
 上野さんのふるさとへの思いは、これだけではありません。旧余呉町時代から現在に至るまでよご認定こども園、余呉小中学校での図書購入の支援を続けています。「貧しかった子ども時代、本も買えず苦学をした」からこそ、子どもたちが自由に本を手に取る喜びを知ってほしいと願ってのことです。
 伺った日は、余呉のいとこや京都の中学時代のお友達も初訪問されていて、「新しいみんなの居場所ができたね」と喜びあっておられました。
「電気が灯って、明るいのがありがたい」。ご近所さんはそんな風に言ってくださっているのだとか。上野さん、たびたび余呉へ帰ってきてくださいね。待っています。  
 

上野さん(写真右)。いとこや同級生の皆さんと


元の建物の良さはを生かし、座敷はほぼそのまま

*********************************************************************************
「こちら田舎暮らし案内所」は、長浜市内で発行するローカルペーパー・さざなみ通信にて長浜市移住定住協議会が連載している記事です。移住者や空き家活用事例を紹介しています。
 こちら田舎暮らし案内所 57<2022年12月掲載>