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仕事づくり 長浜のこれからを担うクリエイターたちの仕事づくり

森林環境保全員

橋本 勘さん

橋本 勘さん

大阪府堺市から長浜市西浅井町へ移住してきた橋本勘さん。
「ながはま森林マッチングセンター」で、森林環境保全員として働きながら、プライベートでも森や山に関わる活動をしています。

記事作成:長浜ローカルフォト 竹中昌代

お仕事概要

長浜市域の約55%を占める森林。その面積は滋賀県内で最大です。特に市北部地域に集中する森林の魅力と情報を発信をしながら、山に関心をもってもらえる交流や仕事作りを支援する「ながはま森林マッチングセンター」が長浜市木之本町にあります。 ここで森林環境保全員として活動している橋本勘さん。植生の調査や奥琵琶湖パークウェイの桜並木の保全や長浜市内の小学生を対象とした環境学習の指導、森や山に関するイベントのガイドなど、仕事内容は多岐に渡ります。 さらにライフワークとして「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の事務局長を務め、滋賀県最大の山門湿原がある山門水源の森の保全活動に取り組むほか、菅原道真にちなむ菅山寺一帯の山林を整える「菅山寺の森 友の会」の会員として熱心に活動を行っています。 そんな橋本さんの別名は「森の案内人」。自らのフィールドワークや取り組みにちなむ豊富な知識に思わず引き込まれ「森っておもしろい!」、そう思わせてくれます。 橋本さんは大阪府堺市出身、大卒後、大学院での研究を経て塾の講師やサラリーマンを経験。2009年に父親の実家である長浜市西浅井町山門に移住してきました。会社を辞め就業活動中に、市内で農業の研修を受けることになります。研修を受けながら、いずれ自分の住む西浅井地域で農業も含めた何かができないか____。そう模索していたところ、県の事業として、山門水源の森の調査・保全活動を行う「森林レンジャー」を知り、この仕事に就きます。当時はスギとヒノキの違いもわからないほど、植物のことは知識がなかったそうですが、この仕事をきっかけに、山門水源の森との出会いがあり、また「森の案内人」としてのストーリーが始まります。 2012年から5年間は長浜市の職員として、活動範囲を山門水源の森から市内北部地域へと広げていきます。その後ながはま森林マッチングセンターにご縁が繋がり、現在の業務に従事。2年前から取り組んでいるのがメープルシロップ作り。なんと山門や奥琵琶湖周辺で自生しているカエデの木から樹液を採取し、煮詰めることでメープルシロップが作れるのです。「これはビジネスとして捉えるのではく、あくまでも森に関心をもってもらうためのきっかけ作り」と話す橋本さん。様々な形で森と人とを結ぶことができないかと日々模索しているところです。

橋本 勘さんの仕事づくりストーリー

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どんな仕事をされていますか?

森林の保全・調査のほかに、Web等で市内北部地域の森の魅力発信をしています。また年に数回、山門水源の森や菅山寺、金居原の土倉鉱山跡などで、山や森を体験してもらえるイベントを企画しています。個人では体験できない魅力がぎゅっと詰まったイベントで毎回好評を得ています。ほかにも県内の小学4年生を対象にした「やまのこ」と言われる森林環境学習のサポートも。プライベートでは、田んぼ6反を持ち米作りもしています。

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現在の仕事に至ったきっかけ

大学の教育学部を卒業し、教師になることも視野に入れていましたが、当時は採用が少なかったこともあり大学院へ進学、無事に学位を取得しましたがリーマンショック直後の就職氷河期とも重なり、なりたい職業にもなかなか就けない状態でした。そこで“地に足をつけたことができないか”と、サラリーマンを辞め父の実家である山門への移住を考え始めます。そして自分の方向性を探っている時に、タイミング良くご縁が繋がり、山や森に関わる現在の仕事にたどり着きました。大阪にいた頃には想像もできなかったことです。

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地方で仕事をやる上での工夫

どうしてもこれがしたい!というこだわりをあまり持っていなかったので、地域にはすんなり溶け込めたと思います。地域の行事にも積極的に参加したり、自治会の役員なども引き受けたり、自分にできることはやるようにしています。ここ数年は自治会の依頼で、ホタル観察会の講師もしています。準備等大変なこともありますが、自分の蓄積になっていくことはうれしいですね。子どもたちがどうしたら喜んでくれるかと考えることも好きです。

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移住してきた頃と比べ今はどういう状況ですか

こちらに来てからは自分の余白が増えたように思います。これができるという自信はあまりなかったけど、当時は想像もしなかったことができるようになりました。仕事もすでにあるものではないので、“ない仕事を作る”楽しみ、大きく言えば“ハンドメイドで人生を作っていく”楽しみがありますね。こだわりなく受け入れるということがこだわりなのかもしれないですが、そういったスタンスでいることがかえってよかったのかもしれません。

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長浜での暮らしの楽しみ方を教えてください

なんと言っても自然豊かな景観ですかね。たとえば川の源流から琵琶湖へ注ぎ込む河口までわずか7kmほど。山間部と平野と琵琶湖が近く、自然や地域など「流域」をコンパクトに感じられます。また、北国街道沿いには造り酒屋や醤油蔵が多く、水が豊かな地域であるとかそういったことが見えてくるのもおもしろいですね。何より、いろんな人と繋がりができることが楽しいです。仕事を通じてわかったことですが、若い人は山を楽しむ価値を知っているように思います。菅山寺やメープルの活動には若い人の参加が多いですね。

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今後の展望を教えてください

メープルシロップに関わる仲間を増やしていきたいです。昨シーズンは樹液採取のタンク設置、樹液回収をしてくれる人を募って一緒に活動しましたが、さらに商品開発等にもチャレンジできるような輪作りができればいいですね。また与えられた仕事に対してどんなパフォーマンスができるか、山や森の可能性をどう引き出していけるかを考えながら、自分なりのストーリーを作っていけたらと思います。