長浜市中心市街地の活性化を目的とした長浜まちづくり株式会社に勤める竹村光雄さん。秀吉公に始まる町衆文化や黒壁の地域活性に代表される町づくりのお話、今後の長浜全域を見渡した時の中心市街地のあり方など、長浜のことを誰よりも丁寧に聞かせてくれます。そんな長浜の郷土に深い思い入れを感じさせる竹村さんですが、もともと茨城県出身で、東京からIターンしてきた移住者です。

　小さい頃から身の回りの環境や空間の使われ方に強い興味のあった竹村さんは、大学では建築を専攻し、都市計画系のコンサルティング会社へ務めるように。大学時代から建築の工学的な機能性やスター建築家のようなデザイン性というよりも、暮らしの中での動植物との関わりや、暮らし方とリンクした町並みの形成に興味を持つようになっていきます。東京時代は、地方都市の活性化の事業に数多く関わり、まちづくりや再開発と呼ばれる俯瞰的なビジョンづくりから、実際にそれを形にしていく町家再生等の個々のデザインを現場でこなしていきます。長浜に何年も関わるうちに、その暮らしぶりや人づきあいの距離感、自然環境に惹かれ、コンサルタントとしてではなく、地域に根ざした暮らしの中でまちづくりに参画したいと思い移住へと踏み切ります。

　現在は中心市街地活性化の取組を、竹村さんならではの周辺環境も含めた多角的な視点で取り組みながら、なによりも自身が長浜の暮らしを満喫されています。まちなかの面白さについても独特の考えで、地域の先輩方の作り上げてこられた作法や約束事が、住居の形態として見えてくることだと話してくれました。町衆文化そのものである曳山まつりにも積極的に関わっている竹村さんだから見えてくる風景があるのかもしれません。

町づくりの足あとがしっかりと感じられる、活気のある町です。美味しいご飯やさんや日常的に使うお店も町中にわりと多くあって、人口は少なくとも不自由なく暮らせる環境が整っています。都市と田舎の中間ぐらいの、そこそこ便利でのびのび自分らしく生活できるところです。

少し町の外に踏み出せば、すぐ側に豊かな自然環境があります。アウトドアも好きなのでサイクリングやハイキング、琵琶湖岸で食事をしたりもします。都会というほどの規模でもなく、町を流れる小川に鮎がいたりと生き物の気配も感じることができます。地形や歴史・文化が蓄積された場所なので、そういった文脈で町を観察すると、更に面白い発見がたくさんあります。

出会いは全てタイミングです。「いい家がありますか」と聞くよりも、自分の足で歩き回って「こういう場所で、こういう家がほしい」というビジョンを待つことが大事だと思います。

竹村さんのまちなか暮らしのススメ